Boston大学からの論文です。
PTSDに対する心身介入の無作為化試験の系統的レビューです。
1985年から2017年に発表された論文を検索検討し、PTSDの介入として、マインドフルネス、ヨガ、リラクゼーションそれぞれと介入群または対照群と比較した系統的レビューです。
とても客観的に書かれています。
参考まで。
以下、簡単に要約します。
「心理的および身体的疾患のための従来の医学的アプローチに代わるものへの関心が近年急速に高まっています。
従来の治療法の一部とは見なされない、実践として定義されている補完的および統合的な介入は、従来の治療と組み合わせるか、その代わりとして使用することが可能です。
米国の成人の3分の1以上が何らかの形のCI療法と深呼吸運動、瞑想、ヨガなどの「心身」の実践を使用しています。
心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、その寿命の間に米国の成人の6%が衰弱させる精神障害であり、
退役軍人健康管理局(VHA)の中でPTSDは3番目に一般的な精神医学的診断となっています。
これはPTSDのための積極的な心身治療を検討し公表されたランダム化比較試験(RCT)に限定された最初の系統的レビューです。
現在のレビューでは、PTSDの結果にリラクゼーションとRCT標的治療との間に違いが頻繁にないことが明らかにされており、
症状の改善が強調されています。
このレビューの強みは、3つのカテゴリーの治療のそれぞれに多種多様な介入が含まれていることです。
(例、マインドフルネスにはMBSR、マントラムの繰り返し、および短いマインドフルネスの介入)
しかし、このアプローチでは、調査結果全体を簡潔に要約することは困難でした。
RCTにおける比較群の選択は、すべての比較群に関連する長所と短所があるため、慎重に検討するに値する研究デザイン要素です。
薬物療法試験とは異なり、心身療法または心理療法のRCTに真のプラセボはありません。
そして、リラクゼーションの場合がそうであることが判明したため、コントロール介入が時々有効であることがわかります。
ここで検討されている積極的な心身治療は、治療に特殊な道具を必要としないため、様々な場所で簡単に提供することができます。
心身介入は、PTSDの患者にとって、苦痛な身体的および感情的状態を受け入れる気持ちを高め、
患者自身が健康的な生活習慣を身につけることを可能にすることができるアプローチを促進するかもしれません。」
私もPTSDとヨガに関する論文をいくつか読んでみましたが、
試験のデザインそのものが難しく、結論ありきで書かれているようなものや、とても効果があった、ほとんどなかった、など
かなりのバラつきを見受けました。
ただ、今現在も研究中の試験がたくさんあり、これから医療の現場でどう使用されていくのか、
ここからまだまだ発展していく明るい研究であると思います。
個人の考察ですが、
動くヴィンヤサのようなヨガよりも、
リラクゼーションを強調するスタイルのヨガ(古典ヨガ)の方がアプローチできているように読めました。
実際のところは、PTSDにはリラクゼーションよりも
感覚を取り戻すヨガの方が良いとされているにも関わらずです。
やはり論文を読むだけでは現場の状況がわかりにくいですね。
ただ、本来のヨガの効果をもつスタイルのクラスをデザインした比較試験はまだまだ必要だと思います。