アメリカはボストンで行われた治験です。
慢性腰痛の患者さん320人をランダムに3つのグループに分け、
理学療法を受ける人、ヨガをする人、自己管理方法が書かれた本を読む人を2:2:1の割合に振り分け、
52週間の追跡調査を行いました。
始めの12週間は、理学療法・ヨガともに、本を読むグループより有意差は認められませんでした。
その後、40週間にわたり、ヨガと理学療法の両方に参加した参加者は、
臨床的に意味のある機能改善をする可能性が高く、本を読むグループよりも鎮痛薬の服用をやめる可能性が高かった結果が出ています。
また、理学療法とヨガは、物理療法と同じくらいの効果が期待でき、
機能改善効果として差があまりでなかったそうです。
この論文のポイントは
①12週間では、この3つのグループにあまり差がないこと。つまり、持続して初めて効果が出る、ということ。
②その12週間後、理学療法とヨガともに、参加者の遵守度が低かったこと。当たり前ですが、守った人には効果が出たのです。なぜ続けられなかったのかが今後の課題。
③12週間のヨガプログラムは標準化されたものであったこと。まさに今、日本に必要とされている部分であります。
④慢性腰痛の治療法として、理学療法とヨガに有意差がなかったこと。つまりヨガは、所得・人種ともに多様な参加者に対応できるの可能性を秘めた代替医療になりうること。
この規模の治験を、日本でも行うことができれば、面白い結果がでるのではないでしょうか。
ヨガが理学療法と同じ効果が期待できるとしたら、利用しない手はありません。
一体どれくらいの国民医療費が削減できるでしょうか。
一過性の効果しか期待できない薬を飲み続けても、解決にはなりません。
そしてヨガを代替医療として使うのであれば、
ヨガの「標準化」の基準をどうするのか。
ちりぢりになっている日本の「ヨガ」を見直す時がきているのかもしれません。