ヨガはこれにいい。あれに効果が期待できる。
そんなふうに向き合うのではなく、
どうしてその研究が行われたのか。
今日はそんな視点から書いてみます。
脳卒中のリハビリにヨガが有効か。
イギリスより発表された論文です。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29220541
脳卒中は健康上重大な問題で、長期的な障害の原因であり、
患者さんにとって、感情的にも、社会的にも、そして経済的にも大きな影響を有します。
その為、この研究の目的は、
ヨガの有効性、脳卒中のリハビリの介入、機能回復およびQOL(Quality of Life)を評価することでした。
著者らは、患者さんたちが脳卒中後の生命挑戦に取り組むために、有意義な活動に従事する脳卒中生存者を支援する、
長期的で持続可能なリハビリ介入を探求する必要がある、と考えたのです。
ヨガの期待できる効果の6つの領域中、記憶以外の5つの領域(身体的、情緒的、コミュニケーション的、社会参加、脳卒中の回復)に対する効果は有意ではなかった結果が出ています。
「コクラン以外のレビューにおいて、自己管理の一環としてヨガが有効な可能性がある、と結論付けている。」
と書かれています。
脳卒中リハビリに関しては、コクランレビューにおいては有効性が認められなかったものの、
ヨガは心身に良い影響をもたらすのではないか。
そんな仮説を立て、検証してみた結果、の論文です。
結論の最後には、
「このレビューでは、脳卒中のリハビリ治療としてのヨガの有効性、または安全性を確認するための情報が不十分であることが確認されている。
脳卒中のリハビリとしてのヨガの有効性を確立するには、さらに大規模な方法論的に頑強な試験が必要である。」
とあります。
残念な結果に終わっています。
けれど、なかなか面白い視点であり、研究のデザインを変えてみたらどうか、
という熱意と誠意が伝わってきました。
私たちは、論文を読んで結果を知り、それを智慧として取り入れるだけですが、
研究者からすれば、相当な粘り強さと情熱が必要です。
結果在りきの研究は面白くない。
誰かと同じことをしていても、進歩はない。
そんな気づきを頂いた論文でした。